さて前回の続きです。
新型コロナウイルス感染症の影響で混乱するのは受験生だけではありません。入試を行う大学もまた大混乱です。そもそも新型コロナウイルス感染症の対応で大学病院は混乱と疲弊をしています。病院の収入も減りました。大学は授業がストップしていましたし(オンライン授業もあるにはありますが)、その間は実習も実施できていません。各大学では学生の単位認定をどうするかで混乱しています。6年生は卒試や国試がどうなるか気が気ではありませんから、その対応にも追われるでしょう。
そこにこの文部科学省の通知です。他学部と同じ問題を出す国立総合大学や予備校に作問を委託している大学は別として、医学部独自問題を出題する大学や単科大学はどう対応するのでしょうか。しっかりした問題を作成し、入試を滞りなく行えるのでしょうか。そこが非常に気になります。
前回の文部科学省からの通知にある「数Ⅲと理科の選択問題」であれば、問題数を例年より多くしなければなりませんし、選択問題の難易度についてもきちんとした検証が必要です。「発展的な学習内容」についていえば、出題しないとなると指導要領と各社の教科書を入念にチェックしなければなりません。補足事項を記載するのはかなり手間がかかります。そうでなくとも混乱して大変な今年度の医学部。念には念を入れた作問を行う余裕はあるのでしょうか。どれほどの大学が文部科学省の通知を順守できるのでしょうか。予備校に作問を委託する大学が増えるかもしれません。
ところで、みなさんは『入試過去問題活用宣言』というのをご存知でしょうか。それぞれの大学の入試過去問題をお互いの共有財産として活用しようというもので、参加している大学のうち、医学部があるのは令和2年1月の時点で以下の通りです。
<国立>
旭川医科大学、弘前大学、秋田大学、山形大学、群馬大学、金沢大学、山梨大学、信州大学、岐阜大学
滋賀医科大学、鳥取大学、徳島大学、愛媛大学、高知大学、長崎大学、熊本大学、大分大学、宮崎大学
<公立>
札幌医科大学、名古屋市立大学
<私立>
順天堂大学、昭和大学、東京慈恵会医科大学、東邦大学、日本医科大学、藤田医科大学、関西医科大学
え?ここが?という大学も入っていますね。
問題作成の段階でかなりの苦労が予想される来年度入試においては、参加大学間の過去問の活用が増えるかもしれません。過去問対策、出題傾向分析の一環として役立つかもしれませんのでお伝えしておきます。
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