学校が、予備校が再開したと思ったらもう6月も終わり。あと2か月で夏も終わってしまいます。まだまだ受験勉強は始まったばかりだから、と悠長に構えているとあっという間に残り時間がなくなりますから注意してください。
さて前回までは受験生は夏までに何をすべきかをお話ししましたが、今回は入試を行う大学入試センターや大学側から2021年度入試がどうなるかを考えてみます。長くなりますので前半と後半に分けます。最後までお付き合いください。
先日、文部科学省が「大学入学者選抜実施要項」を大学、教育委員会、大学入試センターに通知を出しました。大学入学共通テストに関するものは以下の通りです。
1.大学入学共通テストは①1月16日、17日の本試験とは別に②1月30日、31日と③2月13日、14日の2回の試験を実施する。
2.②は本試験①の追試として実施する他、「新型コロナウイルス感染症の影響による学業の遅れ」を理由に本試験ではなく②を出願時に選択した者を対象とする。
3.③は「学業の遅れ」を理由に②を選択したものの、疾病等により受験できなかった者を対象とする。(②の特例追試験)
4.各大学が指定する科目のうち地理歴史、公民、理科の2科目指定を1科目に減じることなどの配慮を行うよう努める。
「学業の遅れ」を理由に②を選択する際の条件の有無や浪人生の扱いなどについて現段階では判明していません。①を受験すべきなのか②を選択すべきなのかなどを含めて、改めてお話ししたいと思います。
4については各大学の発表を待つ必要がありますから注意してください。
一方、各大学の個別学力検査の出題についてはさらに大きな問題が生じることになります。通知では以下のようになっています。(医学部入試に関するものに絞ります)
1.数学Ⅲと理科において、受験者が解答する問題を選択できるなどの配慮を行う。
2.教科書の「発展的な学習内容」から出題しない。出題する場合は補足事項を記載する。
これらのことは受験生にとってとても大きな問題です。各大学の個別学力検査(2次試験)はどうなるのか。数Ⅲを選択しないということは可能なのか、理科では何が選択問題になるのか。それで高レベルの医学部受験生の合否判定が適切にできるのか。私立大はこの通知に従うのか。国公立大でも他学部との共通問題を出題する総合大の医学部は、他学部と同じ方針でいいのか。独自問題を作成するのか。単科大では配慮するのか。作問する教員にその余裕があるのか。採点から合否判定までが短い中で適切に判定できるのか。課題は山積するはずです。入学者選抜の基本事項の公表期日は7月31日ですが、それまでにしっかりした方針が出せるかどうか、予断を許しません。
医学部受験は情報戦でもあります。きちんと情報を提供し、戦略と戦術を練ることが私たちの使命です。来年の入試はこの混乱の中でしっかりと対策できた者が結果を出すことができるでしょう。私たちもしっかりと分析したいと思います。
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