東京ではまだ連日数十人の感染が報じられている6月下旬ですが、全国的には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第一波はほぼ収束したとみてよいだろうと考えられる状態になりました。
経済活動も再開しましたが、まだまだ低迷は続くでしょうし、「新しい生活様式」だの「ウィズコロナ」だの、私たちの生活が元に戻るのはしばらく先になるでしょう。秋・冬の第二波、第三波にも警戒が必要です。
とはいえ、来年度の入試は現在のところ推薦入試を除いて予定通り行われることになっていますから、私たちとしては準備を進めていかなければなりません。
ではコロナ禍で学校も予備校も大きな影響を受けた現状で、私たちは来年度の入試についてどのように準備していくことが必要なのでしょうか。来年の医学部入試はどうなるのでしょうか。
そのことを4回に分けて考えてみたいと思います。
進度の遅れをどう取り戻す?
高校も予備校も、新年度の開始が約1か月半遅れました。オンラインで授業を配信していた高校、予備校もありますが、多くは映像を配信するだけのものでした。大手の予備校はそもそも授業が一方通行ですから、それほど大きな影響はなかったかもしれませんが、医系専門予備校のような双方向授業を主眼としているところは、この間ただ映像を配信しているだけでは授業の成果はあまりなかったかもしれません。
さて、この1か月半の遅れは医学部入試にどう響くのでしょうか。そして、どのように準備すべきなのでしょうか。
共通テストの日程は予定通りであることが決まりましたから、その後に行われる私立大の入試も、国公立大の2次試験も日程に変更はないという前提で考えましょう。
現役生の場合は?
国公立大を志望する場合を考えてみます。2年までに高校のカリキュラムを終える中高一貫の進学校を除けば、おおむねどの高校も夏休み前後にカリキュラムを終了させる予定を組んでいまが、12月から本格的に共通テスト対策を行うとすれば、1か月半ずれ込むことによってカリキュラム終了後の余裕はほとんどありません。また、カリキュラムの進行を早めれば授業が過密になり定着率が下がりますからこれもまた夏以降12月までが厳しくなります。
とすれば、共通テスト対策は夏までに一旦終わっておくことが重要になります。もう待ったなしです。
一方、私立大専願の場合はもう少し余裕があります。とはいえ、各私立大の対策を行うのに最低1か月程度は必要であることを考えると、これもやはり夏以降に余裕があまりありません。高2までに学習した範囲を夏までに一通り復習して押さえておかないとほとんど対策なしで受験機に突入してしまうことになります。これもやはりもう待ったなしです。
浪人生の場合は?
浪人生の場合は現役生に比べて少し余裕が持てますが、1浪と2浪以上では状況が大きく異なります。それは受験終了から勉強開始までのブランクに差があるからです。
浪人生と現役生では理科と数Ⅲで習熟度に差が出ることが多く、その点で浪人生が有利になるのですが1浪だとその差が埋まらないまま浪人に入りますから、予備校の授業開始が遅れたことはそのまま1浪生にとって差を埋める時間が短くなったことになり、かなりハイペースで差を詰めるべく勉強する必要があります。
もちろん2浪以上でも受験が終わってから「息抜きだ」と勉強しないでダラダラ過ごした人はその優位性が全く生かされないのは言うまでもありません。
COVID-19の影響次第ですが、来年度の入試は当初の予定通り行われることになっています。
では現在の状況から考えて、これから私たちはどうすべきなのでしょうか。次回はそのことをお話ししたいと思います。
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